占星術を勉強すると、知識が増えるほど書きたいことも増えていきます。
「この星がこのハウスに入っていて・・・」
「このアスペクトがあるから…」
・・・もちろん、どちらも大切な情報です。
でも、読者が求めているのは「星の授業」ではありません。
大切なのは、知っていることを全部見せることではなく、知識を使って「わかる言葉」を届けること。
今回は、専門性を失わずに、誰にでも伝わる星占いを書くコツを紹介します。
まずは動画でチェックしたいという方は、以下よりご覧いただけます。
なぜ専門的な星占いは読まれにくいのか
占星術を勉強したばかりの頃は、知識を使って文章を書けることが嬉しくなるでしょう。
「トランジットが~」「○○ハウスが~」
「○○と○○がスクエアで~」
せっかく勉強したのだから、使いたくなるのは当然です。ところが、ここで一つ問題が起こります。
それは、「正しい文章」と「伝わる文章」は、同じではないということ。
たとえば、
「今週は火星が第6ハウスを通過し、仕事や日常生活における行動力が刺激されます。」
占星術を知っている人なら意味が分かります。
でも、初めて読む人は、
「第6ハウスって何?」
となるかもしれません。
そこで、
「仕事や日々の生活で、もう少しこうしたいと思っていたことを動かしやすい時期です。」
と書き換えてみる。こちらなら、占星術を知らなくても意味が伝わります。
実は、この2つの文章。言っていることは大きく変わっていません。違うのは、情報を置く場所です。
前者は「星の世界」に情報を置いています。
後者は「読者の世界」に情報を置いています。
星占いを読む人が求めているのは、ほとんどの場合、後者です。
「私は今、何を意識すればいい?」
「恋愛ではどうなる?」
「仕事ではどう動けばいい?」
「今のモヤモヤには意味がある?」
そんな疑問に答えてくれる文章を探しています。
だから、専門用語を知っていることは決して悪くありません。むしろ、占い師にとって大きな武器です。
ただし、その知識をそのまま読者に渡す必要はない。
料理人が、使っている包丁や鍋の説明をしながら料理を出さないのと同じです。
道具を見せるより、完成した料理を味わってもらう。
星占いも同じ。読者に「すごい知識量!」と思ってもらうことより、
「なんだか分かりやすい」「今の自分に必要なことが分かった」
と思ってもらうほうが、文章としては強いのです。
専門用語を「生活の言葉」へ翻訳する
では、専門知識をどう文章に変えればいいのでしょうか。
おすすめなのが、「専門用語→テーマ→生活」という3段階の変換です。
たとえば「トランジット」という言葉。占星術を知らない人には、少し難しく聞こえるでしょう。
でも、ざっくり言えば、
「今、空を動いている星が、自分の出生図にどんな影響を与えているか」
を見る考え方です。記事を書くときに、必ず「トランジットとは何か」を説明しなくても構いません。
その代わり、
「今は、自分自身の価値観を見直しやすい時期」
「仕事との向き合い方を変えたくなるタイミング」
など、読者が実感できるテーマに変換します。
「ハウス」も同じです。
たとえば第2ハウスなら、お金や持っているもの、自分の価値などがテーマになります。
それを、「第2ハウスが・・・」と書くのではなく、
「今まで『これくらいでいいか』と思っていた収入や働き方を、もう少し見直したくなる時期です。」
と書く。
第7ハウスなら、「対人関係やパートナーシップのテーマが強くなります」という専門的な説明を、「一人で頑張るより、誰と一緒に進むかを考えたくなる時期です。」に変えることもできるでしょう。
アスペクトも同じです。
「スクエアだから葛藤が起きる」
ではなく、
「やりたい気持ちと、現実的に考えたほうがいいという気持ちがぶつかりやすいかもしれません。」
と書けば、占星術を知らない人にも伝わります。
ここで大切なのは、専門用語を「なくす」ことではありません。
頭の中では、しっかり専門用語を使って読んでいい。むしろプロとして読むなら、使ったほうがいい。
ただ、最終的に読者へ渡すときには、
「この星は何を意味する?」
ではなく、「その意味は、人間の生活では何として現れる?」というところまで翻訳する。
これができると、文章の表面はやさしいのに、裏側にはしっかりとした占星術の知識がある。
そんな文章になります。
つまり、「初心者向け=浅い文章」ではありません。
むしろ、難しいことを簡単に伝えられる文章ほど、書き手の実力が必要なのです。
◆知識を見せるのではなく「知識を使う」
ここで、占い師ライターにとって大切な考え方があります。
それは、「知識を見せること」と「知識を使うこと」は違うということです。
たとえば、
「今週は金星と木星が調和的な配置を作ります。」
これは、知識を見せています。
一方、
「人とのやり取りの中に、思っていた以上の嬉しいエッセンスを感じられそう。何気ない会話から、新しい仕事の話が出たり、友人とのつながりが恋愛のきっかけになったりするかもしれません。」
こちらは、知識を使っています。
後者では、金星や木星の名前を出していません。でも、その背景には、
「この星の組み合わせなら、どんなテーマが広がりやすい?」
という占星術的な判断があります。つまり読者には見えていなくても、書き手の中ではちゃんと星を読んでいる。
これこそが、プロの文章です。
たとえるなら、これは手品に少し似ています。観客は、どんな仕掛けなのかを全部知る必要はありません。
「どうなっているんだろう?」
と思いながら、目の前の不思議を楽しめばいい。
占い師ライターも同じです。読者に占星術の仕組みを全部見せる必要はありません。
「なぜか今の私にしっくりくる」という体験を届ける。
その裏側では、書き手がしっかり星を読んでいる。だからこそ、専門知識は「隠す」のではなく、文章の説得力として使うのです。
そして、この書き方を身につけると、占い師としての可能性がぐっと広がります。
SNSなら短い一文で星の意味を届けられる。
ブログなら、読者の悩みに合わせて深く掘り下げられる。
メルマガなら、星の動きから今週の過ごし方を提案できる。
鑑定記事なら、専門的な分析を読者が理解できる言葉に変えられる。
・・・つまり、知識を増やすほど「難しい文章を書く」のではなく、知識が増えるほど「簡単に、深く書ける」ようになる。
ここを目指してみましょう。
「占星術をたくさん知っている人」から、「占星術を使って、人の心に届く文章を書ける人」へ。
この差が、ライターとしての大きな強みになります。
まとめ「詳しい占い師」から「伝えられる占い師」へ
占星術を勉強するにつれて、当たり前ですが専門用語は増えていきます。
でも、それを全部文章に入れる必要はないのです。
大切なのは、知識を翻訳すること。
「ハウス」「アスペクト」「トランジット」という言葉の奥にある意味を、
「仕事でこんな気持ちになるかも」
「恋愛ではこんな変化がありそう」
「今週はこんな選択をしてみて」
という、人間の言葉に変えていきます。
難しいことを難しく説明するのは、知識があればできます。
けれど、難しいことを誰にでも分かるように伝えるには、もう一段深い理解が必要です。
だからこそ、占い師&ライターには大きな可能性があります。
専門知識を学ぶこと。人の生活を観察すること。そして、それをやさしい言葉に翻訳すること。
この3つを重ねていけば、あなたの文章は少しずつ「占いの説明」から「その人のための言葉」へ変わっていくでしょう。
詳しい人になるだけではなく、伝えられる人になる。
それが、読者に選ばれる占い師への一歩です。


